韓国特許法の改正およびその趣旨
2001年7月1日より施行された改正特許法の主要改正内容を要約すると次の通りであります。下記改正法は、別に指摘した事項を除いては
2001年7日1日より出願された特許出願に適用されます。
1.特許要件における新規性喪失事由の追加(改正特許法29条1項2号)
改正法では、「大統領が定める電気通信回線(例えば、インターネット)を通して公衆が利用可能になった発明」を新規性喪失事由に追加しております。追加の目的は、インターネットに公開された技術と同一の出願を拒絶しうる基盤を築くことにあります。
2.明細書または図面の自発的な補正期間の拡大(改正特許法47条1項)
旧法においては、出願日(または優先権主張日)より1年3ヶ月以内に限って明細書または図面の自発的な補正が可能でありましたが、改正法では、自発的な補正期間が拡大されて特許決定書(または最初拒絶理由通知書)を受ける前まで自発的な補正が可能になりました。
3.明細書または図面の補正許容範囲(改正特許法47条2項)
旧法によれば、出願当初の特許出願書(発明の詳細な説明)または図面に新規事項を追加しても特許請求の範囲に影響を及ぼさない場合は明細書または図面の補正が可能であると規定されております。この規定は、2001年7月1日前に出願された特許出願に対して従前の通り適用されます。
しかし、改正法では当該規定が削除され、出願当初の明細書または図面(PCT出願の場合、PCT出願の明細書、請求範囲または図面の翻訳文)に記載の事項の範囲内に限って明細書または図面の補正が可能であります。即ち、明細書(発明の詳細な説明)または図面に新規事項を追加する補正は許されません。これを違反する場合、これは拒絶理由、特許異議申立理由、並びに特許無効理由となります。
4.拒絶理由通知制度の変更(改正特許法47条1項1、2号)
改正法の他の主要変更事項としては、特許出願に対する拒絶理由通知方式があります。最初に通知する拒絶理由通知は旧法と同様に最初拒絶理由通知として認められます。しかし、最初拒絶理由通知に対して提出された明細書または図面の補正に新規事項の追加などの拒絶理由が存在する場合、これに対する拒絶理由通知が最後拒絶理由通知として認められます。
但し、最初拒絶理由通知後の拒絶理由通知であっても、最初拒絶理由通知に対応する補正に関する拒絶でなく新たな拒絶理由を通知する場合その拒絶理由通知は再び最初拒絶理由通知として認められます。
5.最後拒絶理由通知に対する補正及び拒絶決定不服審判請求後30日内の補正における補正制限(改正特許法47条3項)
最後拒絶理由通知に対応した補正及び拒絶決定不服審判請求後30日以内に行う補正において、旧法では要旨変更がない限り請求範囲の補正に制限がありませんでしたが、改正法では、@)請求範囲の減縮(請求項の削除も含む)、A)誤った記載の訂正、または
B)不明な記載を明確にする場合に限って請求範囲の補正が許されます。
この改正内容は旧法と大きな違いがありますので、実務上格段なる留意が要望されております。
6.補正却下及びこれに対する不服(改正特許法51条1、3項)
旧法によれば、補正が要旨変更に該当する場合、審査官から補正却下決定を受けることになり、これに対して不服がある場合、出願人は補正却下決定不服審判を請求できましたが、改正法では、最後拒絶理由通知に対応する補正が新規事項の追加であるか、特許請求範囲の補正が不適法な場合には補正却下決定を受けることになり、これに対しては不服できず(補正却下決定不服審判制度の廃止)、但し、拒絶決定不服審判においてこれを争うことができます。
7.優先権主張の追加または訂正(改正特許法54条7項)
旧法では優先権主張の追加が認められませんでしたが、改正法では優先権主張日より1年4ヶ月内に限って優先権主張の訂正または追加が認められます。
8.特許異議申立期間の延長(改正特許法69条1項)
旧法では特許異議申立期間が特許登録公告日より3ヶ月内となっておりますが、改正法では特許権設定登録日より登録公告後3ヶ月になる日までに延長されます。
9.特許無効審判手続きにおける特許訂正(改正特許法133条2項)
旧法では無効審判において特許の訂正を行うためには別の訂正審判を請求しなければなりませんでしたが、改正法では無効審判進行中に限って別の訂正審判を請求せずに特許の訂正を請求することができるようになりました。―該規定は、2001年
7月1日前に出願された特許出願に対する特許権にも適用されます。
10.
特許料(年金)未納によって失効された権利の救済(改正特許法81条2項)
出願人または特許権者が責任を取れない事由(天災地変など)により特許法第81条第1項に規定の特許料追加納付期間である6ヶ月の猶予期間内に特許料を追加納付できなかった場合には、追加納付期間の満了日より6ヶ月以内に限って、当該事由が解消した日より14日以内に特許料を追加納付できる規定が新設されました。
該規定に基づいて特許料を追加納付した場合、その特許権は最初特許料納付期間が経過した時点より存続すると見なされます。
但し、特許料追加納付期間が経過した日より追加納付した日までの期間(‘効力制限期間’と称する)における第3者の実施行為に対しては当該特許権の効力が及ばず、当該効力制限期間中の国内での善意の実施者に対しては通常実施権が与えられます。
該規定は、旧規定に基づいて登録された特許権に対しても適用されます。即ち、特許料追加納付期間が2001年7月1日以後である場合はこの規定が適用されます。
11.
特許決定後特許料納付時の請求項の一部放棄(改正特許法215条2項)
2項以上の請求項がある特許出願に対して特許決定を受けた者は、特許料を納付するとき請求項ごとにこれを放棄しうる規定が新設されました。―該規定は、2001年7月1日以後特許料を納付する場合より適用されます。
12.
特許管理人選任登録制度の廃止(改正特許法5条)
2001年7月1日付で特許管理人選任登録制度が廃止されることに伴い、外国人特許権者の特許管理人選任登録も不可能になりました。従って、特許権設定登録後、韓国特許に対して異議申立や無効審判を提起する場合、その関連書類は韓国特許庁より特許権者に直接送達されます。但し、既に特許管理人を選任して登録された場合に対しては従前の通りその特許管理人の登録が認められます。
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